マットレスがあった話

マットレスは、まだ決まっていない。

あれだけ調べておいて、結局なにも決まっていないのだから、
人間というのはなかなか不思議な生き物である。


そんなある日、ふと思い出した。

そういえば、うちにマットレスがあった気がする。


押し入れの奥のほうを探ると、出てきた。

5つ折りのマットレス。

何年か前に買ったもので、たしかIKEAのやつだったと思う。
思う、というのは、あまり覚えていないからである。

最初の2、3回はそれなりに使ったが、
そのあとは子どもたちのマット遊びに使われ、
気づけば部屋の隅で静かに暮らしていた。

インテリアと言えなくもないが、
誰もそうは思っていなかった。


広げてみる。

すこし硬い。
そして、すこしくすんでいる。

なんとなく歴史を感じる色合いになっている。

だが、寝られないほどではない。
たぶん。


試しに車の荷台に置いてみる。

すると、これが見事におさまった。

すっぽりである。

こういうとき、人はだいたい「これだ」と思う。

私も思った。


新品ではないし、特別いいわけでもない。
どちらかというと、どちらでもない。

でも、すでに家にある。

この事実は、思っているより強い。


マットレスは、まだ買っていない。

だが、使うマットレスは決まった。


次は、これで寝てみようと思う。

ちゃんと眠れるかどうかは、まだ分からない。

分からないが、とりあえずはこれでいく。

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